【第8作】 ペリリュー ―楽園のゲルニカ― 著者:武田一義 ※連載終了
8作目は、ペリリューー楽園のゲルニカー
著者:武田一義
ペリリュー・・・。そしてゲルニカ・・・。
パラオ諸島の一つ、南国の島、南太平洋上のこの島の名前を知っている日本人は少ないのかなぁ・・・。でも最近は、映画や海外ドラマでも舞台になったので、少しは知ってほしい島・・・。それがペリリュー島
そして、ゲルニカ、ピカソの代表的な絵画いや、絵画の基となったゲルニカ爆撃!!
そう、この作品は戦争を題材にした作品です。
この島は、ガダルカナル、サイパン、フィリピン、硫黄島、沖縄といった太平洋戦争の激戦地の一つ!!
※ ペリリュー島の戦い
1944年9月から11月頃迄まで、フィリピン攻略の前哨戦(事前の周辺制圧)として、ペリリュー島(アンガウル島を含む)で行われた、主に、日本陸軍第14師団歩兵第2連隊とアメリカ海兵隊第1師団及びアメリカ陸軍第81師団の戦い。
日本側は中国大陸の関東軍から、当時精鋭とされた部隊を南方のこの島に転戦させて挑んだ戦いで、これまでの作戦方針を転換し、島嶼内においての持久戦(以後、硫黄島や、フィリピン、沖縄でも実施される戦法)を行い、事前のアメリカ軍の予想をはるかに超える期間戦い続けた戦いです。
アメリカ側の視点では、アメリカ海兵隊第1師団第5海兵連隊の迫撃砲手として参加したユージーン・スレッジ(著)の「ペリリュー・沖縄戦記」や同師団の機関銃手を務めたロバート・レッキーの回想録「Helmet for My Pillow(邦題:南太平洋戦記)」を基にしたHBOのテレビシリーズ「ザ・パシフィック」に描かれてます。(これ本もドラマもいい作品ですよ!!)
んんん、漫画の話じゃなくて、ドラマと小説の紹介になってないか・・・。
さて、そろそろ本題(このブログは一応漫画の紹介ですから・・・戦争系になるとすぐ脱線・・・。)に戻り。。。
この作品では、ペリリュー島に配属された、一般兵士(招集兵士)の視点で激戦のペリリュー島の戦いが描かれてます。
英雄的な能力や高い志(何が高い志なのか疑問ですが・・・)を持っているわけではなく、戦闘はちょっと苦手な心優しい一般兵士、普通の市民生活から兵士となり、戦闘前の土木作業(陣地構築)や戦闘、その後の生活(主に組織抵抗後のゲリラ戦や、隠匿生活)をこの兵士の特技(絵を描く事)から、細かく描写され、戦友などの信条の変化や、兵士(日本男児の意地)との葛藤がとてもよく表現されてます。
また、この時代の兵隊って・・・。万歳突撃や、自決などのイメージが強いけど人らしく生き残っていくっていう強い信念!!祖父の世代のもやっぱりおんなじ人なんだなっと安心できる作品です。
画の方は、とても戦争ものとは思えない三等身のかわいらしいタッチだけど、激戦地の残酷さも描写されており、すっきりした線でわかりやすく戦場が描かれてます。
また、戦闘前、戦闘中、戦闘後の自然の変化(よみがえり)も大変興味深い画となってます。
あとがきでも、本作を制作するための資料研究(研究会とのやり取り)や、作中の工夫(眼鏡や服装)などもとても面白く興味深いです。
ペリリュー ─楽園のゲルニカ─ (全11巻) Kindle版