【第15作】 ふしぎの国のバード 著者:佐々大河 ※連載中
15作目は、「ふしぎの国のバード」
本作も、イギリス・・・。またかと思われた人ご安心ください・・・。
イギリスといえども、イギリス人旅行家イザベラバード氏(女性)の旅行記を漫画にしたもの!!舞台は明治維新後の日本ですよ!!
イザベラバード氏は19世紀のヨーロッパでも珍しい女性旅行家、いやこの時代は探検家か、冒険家とも表現すべき感じですね。さながら19世紀の女性版インディージョーンズ・・・。罠やアクションはないですけど・・・。この時代の未開の地を行くのは、現代では深海や、月や火星に行くようなものなのかな・・・。科学も未発達の19世紀では、未知の文化、未整備のインフラ、基本的に徒歩で、移動して、何かあってもヘリで救助はしてもらえないし、ましてや、連絡もなかなか取れない!!言葉の通じない地域に分け入っていく様は、ほんと勇気のいる行動ですよね。
また、この時代はイギリスといえども、男尊女卑の激しい時代、女性は家庭の中に入るものをいう固定概念の時代、女性のつける職業もイギリスでも限られている当時に、新たな道を切り開く先人として大変先進的な考えをもった人のようです。
今では、この人の書いた旅行記は、当時の文化を記録した大変貴重な資料になるようです。特に、外国人の目線で奇妙奇天烈に映った当時の日本(アジア)の地方風土風習などは、現代日本には残っていないものも多く、とても興味深いです。たぶん、現代の日本人がタイムスリップしたら、イザベラバード氏と同じ感覚になれるんじゃないかな?
※ 原作の旅行記での表現は少々辛辣というか失礼な部分もありますが、客観的な感想としては仕方がないし、当時のイギリス人から見た視点ですからね・・・。そう思うよね・・・。そういう表現ですよね・・・。
さて、イザベラバード氏は来日後、現地で雇った通訳伊藤鶴吉氏を伴い、東京から会津を経由して新潟、新潟から山形、最後は北海道でアイヌ文化にも触れており、移行西日本にも訪れている。
漫画の中では、都会の東京から徐々に田舎へ進みにつれての、当時の町や村や人々の生活の変化などが丹念に表現されていて、当時の日本の生活水準や、人々の風習などがとても分かりやすく描写されてます。
まぁ、この時代の地方、特に東北方面は明治維新の影響もあるのか、特に開発が遅れている印象で、主人公も苦労をしたようです。
でも土地土地の人との交流を楽しみ、なれない食事、環境に苦慮しながらも新たな発見を楽しむように、万能通訳の伊藤氏を引き連れていざ蝦夷まで邁進していくのが、自分も旅をしている気分になれる楽しい作品です。また、ところどころに入るギャグ要素も、特に旅が進むにつれての二人の関係性が深まるにつれて多くなるところ、が楽しむなってきます。※辛い旅も、ボケとツッコミがあれば楽しくなれますしね!
画は、とてもすっきりとしたタッチで、複雑な日本家屋や、線が多くなる着物、などでも見やすい画となっており、また、とても魅力的に描かれてます。
タイムスリップして、明治の日本の仮想旅行が楽しめる作品、おすすめです。